『聯合艦隊司令長官 山本五十六』

先月末(つまり昨年末)鑑賞してきました。

東映映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』。
五十六2

ワタシらの世代的には、どうしても比較してしまうのが、
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昭和43年東宝制作による『連合艦隊司令長官 山本五十六』であります。

主演の三船敏郎氏の存在感、円谷英二氏の特撮技術、佐藤勝氏の音楽が印象的な作品でした。
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皆さんすでに故人となられて久しいですが、作品の中では今もこれからもご活躍なわけですね。

ちなみに以前、広島県呉市にある帽子屋さんを訪れたことがありまして、、、
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山本長官の軍帽はこのお店で作られていたのですよー。


さて、今作のほうです。
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現在も公開中の作品ですから、詳細な内容については書きませんが、、、
昭和43年の東宝版との違いについて、2点触れておきたいと思います。

1つは脚本及び演出について。
歴史上の人物を史実に基づいて描いた作品なので、どうしても東宝版のリメイクに思えてしまいますが、その後新たに得られた研究成果が反映されたり、当時の社会情勢に関する解釈の仕方も刷新されていて、そこに今作のオリジナリティを見出すことは充分可能です。
特に東宝版の時代は、俳優にも制作スタッフにも、また多くの観客にも、戦争体験者が大勢おられた。そのためわざわざセリフにしたり描写しなくても共感でき、理解できた部分が多々あったはずなんですが、さすがに戦後67年を経た現在においては、背景にある当時の世界情勢と太平洋戦争の因果関係、そもそも我が国の戦争とは何か、そこで散らされた命とは何であるか、といったことをあらためて判るように描く必要があり、それらが加わったことは今の観客にとって大いに歓迎すべきでありましょう。
こうしたほうがいいんじゃない?なんて思うところも若干あったものの、それはそれとして。
じっくりと楽しませていただきました。

2つめはCGIにより、過去の特撮ものとは比べ物にならない程に映像がリアルであること。
映像技術の革新は目を見張るものがあり、そろそろCGか合成かそうでないのかの区別が難しくなってきました。一方でその迫真に迫った(迫り過ぎた)映像のせいで「ホンモノみたいによくできたニセモノ」の写真を延々と見せられているような印象が強いのも事実。嘘なはずなのに妙にリアル過ぎて、脳がいささか疲れてきます。一部ではミニチュア模型を使用した特撮シーンも存在していて、一式陸攻のカットでは護衛機のコクピットからの見た目ショットがミニチュアで撮られており、その場面にはぐっと感情移入することができましたけれど、それ以外の、どこかのできそこないのゲーム画面みたいなのを散々見せられて、そこに豆粒くらいの人間がキレイに合成されていたりしても、大して驚かないし、さほど感動もしないし、感情移入もできにくい。
ほー、よくできとるねー、くらいのもので。
この「ホンモノみたいによくできたニセモノ」を見せつけることが、はたして映像技術の革新の帰結と言えるのか。ワタシにとっては、いやはやナントモ、なのであります。
がしかし…時計を逆回しにはできないもんですからネェ…。
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↑模型のコクピット越しにカメラを据えて撮った↑一式陸攻撃墜の臨場感溢れる特撮カット。


昨年末に最終回を迎えた『坂の上の雲』といい今作といい、実にタイムリー。
五十六1
日本の若い人たちに、またそうでない人たちにも、この機会にぜひ観ていただきたい。


しかしナンですなぁ、CGIも含めて映画作りのデジタライズがほぼ完成の域に達したようで、
つまりそれで何が起きているかというと、昔なら東宝映画は東宝映画でしかなく、東映は東映のカラー、大映はそうそうこんな感じ、日活は…松竹は…と各社の社風のようなものが息づいており、映画を見ただけでどの会社が作った(正確には配給した、ですが)作品かだいたい判ったものですが、今やどれも同じような密度、そっくりなカラーで作られた似て非なる複製品みたいに成り果てたようで、今作も東映だか東宝だか外国映画なんだかもぉよくわからない(笑)。
これも映像技術の革新が成せる業、ナンデショウカ??

でもまぁ最近の自動車だってそうだから。どうでもいい広告とかチラシだってそうだから。
一抹の寂しさ。そう、歳を重ねるということは寂しさが増すということなのかもシレマセヌ。


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プロフィール

喜多村 武

Author:喜多村 武
 映像Director、絵本作り、
 イラスト作画、アニメ制作、
 鉄道模型の設計などしている
 ”アトリエざんまい” な日々。
 最近は大学にて講義をさせて
 いただいたりも…。

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