我が国で21年目を迎えるに当たり、Xantiaのお顔を一新。

最近ではなくて、少し前のこと。
Citroën Xantia V-SX 1997モデルのお顔を一新。


↓このフロントグリルを…
xa_20150905iR.jpg


↓こんなふう(曰く”XM顔”)に。
xa20161203_03R.jpg
ペトロールEgを搭載した93〜94モデル欧州仕様車向けの初期型フロントグリルに、
エンブレムを左隅(画像向かって右隅)にオフセットして装着。


”X1”というコードネームで呼ばれていたCitroën Xantia。
その開発段階に於いて…
エックスワン_0006R
エンブレムが左にオフセットされたスケッチが度々描かれていたのは周知の事実。


1/5スケールモデルも制作され、そうでない案と共に検討が重ねられていたようで…
エックスワン_0005R
それらは開発の初期段階を記録した幾多の資料から伺い知ることができます。


そうした貴重な資料を閲覧中、私が衝撃を受けたのが…


屋外で行われたエクステリアデザイン最終選考の場に於いて…
エックスワン_0001R
決定案 (下の写真で左の車輛。右は比較用のXM) のデザインが決まった時点でも…


まだこうしたモックアップについて検討が為されていたという事実。
エックスワン_0003RRRR
(画像拡大…見づらいですが左端 (向かって右) にエンブレムが確認できますか?)


80年代Nouvelle Generation…BX、AX、XMのデザインの先進性を強く印象付けた、
お顔の左隅にエンブレムを配置するという手法。
ABXM_RR.jpg
経営危機からプジョーの軍門に下ったCitroën社はこれらモデルにより見事V字回復。
(故障の多いXMは売り上げに全く貢献してないデハナイカとの意見もあろうが、
 欧州Car of the Yearを受賞し新時代への道筋をつけた事で充分評価に値しうる)
しかし90年代に入ると、灰汁の強い個性を抑制してより多くの顧客の心を掴むべく、
これらの意匠を過去のものとして、新たなラインナップの構築に取りかかることに。

過去のイメージと決別し、ブランド再構築を遂行していたCitroën社でしたから、
上記のような案は、そうではないデザインの見本としてその確認の為に用意された、
単なる当て馬的存在に過ぎず、そうした案が採用されることは万が一にも無かった、
と想像します。

がしかし、それでも、最後のベルトーネ顔を備えたCitroën車ですから…

もし、Xantiaもそうであったとしたら?…なんてことを想像したくもなるし、
ちょっと見てみたくもなるし、やってみたくもなるってものでしょう(??)。
お顔一新とはすなわち、そういう主旨で始めたことでございます。


さて(いつもながら前置きが長い…)、、、


3年ほど前からサンプル収集を開始し、暇を見つけては研究に取り組みました。
(私の常で、各パーツの特徴を知り設計意図や構造の違いについて考察したくて…)
Frgrill03R.jpg
グリル中央にエンブレムを配した右上が95〜97モデル用、つまり我が方のと同等品。
エンブレム無しが93〜94モデルにのみ使われた、今回の主役の所謂初期型用グリル。


さてさて。
93〜94モデルに該当する日本仕様のほとんどが装着していたのがこのタイプ。
FGrill二体02R
大きく開かれたエアインテークが目立つコレ、実はターボディーゼル車用です。
高温多湿なアジアの島国向けということで、コレが採用されたのでしょう。
かつて台湾へ旅行した時に現地で見たXantiaも、やはりこのお顔でございました。
開口部が大きいが故に割と華奢な作りで、裏側の補強バーも四本も入れられている。
余白が少なくて、これだとどう見てもエンブレムを付けるスペースが足りませぬ。


一方で…
ターボディーゼル車以外の多くの車輛で用いられていたこっちの方であれば…
FGrill二体04RR
スリットが薄い分、余白も広くてエンブレム用のスペースもどうにか確保できそう。
2リッターのみならず1.8Lや1.6Lなど、ペトロールEg搭載車の多種に採用された、
欧州市場のXantiaとしては最もポピュラーなお顔であります。
(ちなみにコレは欧州で近年生産されたリプロ品です)


新車当時、この薄口グリル装着車輛が我が国にも僅かながら輸出されました。
おそらく間違って送られてきてしまったのでしょう。
カタログリストにない (本来輸出される筈のない) おかしな仕様が入ってきてしまう
こうしたケース、シトロエンジャポン設立以前には比較的よくあることでしたよね。
PDIが確立されていなかったんじゃないかなんて言ったらたいへん失礼ですが…
まぁ…大らかな時代でしたね…


話を戻しまして…
前述の薄口グリルについては、私の稚拙な知見によれば国内に3台は確実に存在。
実際にはより多くの車輛が日本に輸出され、路上を走り回っていたことでしょう。
けれど今では路上はおろか解体車としてさえまずお目にかかれない代物です。


そうした事から国内では入手不可と判断 (中古品は使いたくないというのもある)、
欧州で近年生産された前出のリプロ品でやろうと考え、早速仕入れてみたわけです。
Frgrill04R.jpg
しかし…


バリが多いのは当然として、雌型が甘いのか直線やエッヂ部分がシャープさを欠き、
純正品ではないので仕方ないものの、歪みや変形も見られる残念な仕上がり具合。
このリプロ品は、私の目には品質が悪過ぎて使い物にならないなぁという印象。


こんなことでは計画実施は無理かな、と一時は諦めかけたりもしましたが…


そうこうするうち当時の純正パーツ、デッドストックの新品を奇跡的に発掘。
7804A6R.jpg
これを入手できたことで、やっとお顔一新計画が現実味を帯びてきた。


更に、こうした細かいパーツ類もどうにか新品が見つかりまして…
Fグリル用パーツ02R
これでようやく本腰入れて作業開始です。


さて肝心のエンブレムですが、大小どっちを使うか、これがまた大問題。
取り付けた際の収まり具合は小さい方が良好に違いないけれど…
エンブレ03R
先にデビューしたZXが欧州各地を走り回っていた新車当時の状況に思いを馳せれば、
当然ながら小さい方は有り得ない…熟考の末、やはり大きい方を装着すべきと判断。


ちなみにこのエンブレム…我が国でもたいへん馴染み深い車輛用のパーツですが、
なんと…製造メーカーにより規格が異なっていたようで…
エンブレ比較01R
実は、ご覧のように厚みが一様ではありません。もちろん私は薄い方を選択。


続いて取付け位置の検討。これには随分と悩み、試着を繰り返すこと1年と余月。
XA_PLAN02R.jpg
コンマ5mm単位でずらしてみて、どこに付けるのが一番自然に見えるだろうかと…
上下のエンブレム間の距離を確定するのにも微妙なさじ加減が必要でしたね…


それから肝心なことが…


グリル表面はかなりカーブしています。そのため…
エンブレ20161120aR
直線で造形されたアルミ製のエンブレムをカーブのラインに如何に合わせるか…


といったようなことに頭を悩まし、手隙きの時間に種々の検討を重ねに重ね…
xa_ANAAKE04R.jpg
気がつけば…3年の歳月が経過…


基本、お仕事の合間に暇を見つけて少しずつ検討や作業を進めるので、
どうしても時間がかかルンです。
そのぶん楽しみが続くわけでもありまして…
私にとっては至福な時間が長続きした、ともいえます。


今年の夏が終わり、秋になって諸問題が解決を見たので…
塗装完了20161126R
満を持して純正色(EYC)で塗装を実施。
色名はGRIS QUARTZ、"水晶の灰色"といった意味。


塗料が落ち着くまでしばし寝かせたのち…
エンブレ装着01R
必要なパーツを取り付けて、完成。


裏側から見た様子。
エンブレ装着04R
ここまではイメージ通り。


それでは現車に装着。
FG装着01R
まず既存のフロントグリルを丁寧に取り外す。


新旧、両者比較。
FG装着02R
異なるのは薄口or厚口、そしてエンブレム位置。その他は全く同じ (当たり前か)。


キズつけないよう注意を払いつつ、新しいFグリルを装着。
FG装着03R
しかしポン付けとはいかず、ちょっとずらしたり引っ張ったりで調整は難航。
昔のami6ほどではないものの、部材が大きいためチリ合わせはなかなか難しい。


ヘッドランプも少しずらして、付けては外しを何度か繰り返し…
FG装着04R
うむ。できた。


2年前に行った”計画第一弾”…
XMステR_20141128aa
↑『XantiaにXM用ハンドルを装着する』と共に、是非やりたかったことの一つ…


ここにようやく3年越しの"計画第二弾"お顔一新、
『フロントグリル上のエンブレムを左隅に移設する』が完了。
FG装着07R
今後、我が方Xantia V-SXはこのお顔でまいります。


ほんっとに…しなくてもいい余計な事ではあるんですけど…
実践してみなきゃ判らない事は多々あるし、そうして得られる事も少しはある。


それで、装着してみてどうか?といえば…
FG装着10R
気になる点が無くはないが、まぁ大方予想通りのイィ感じに仕上げることができて、
端正で涼しげな顔立ちがこのクルマの本質に良く似合っていると心底思うノダ。


よし、OK。しかし…こんなことして楽しんでいると…
xa20161203_11R.jpg
”自称すまぁと”な21世紀生まれのクルマに対する興味がますます薄れてゆくなぁ…


でもまぁ、それも良き傾向哉。。。
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No title

過程、こだわりを知ると俄然見る目が変わりますね~
確かにすてきな顔に変身ですね。
本職並みの技術と知識、経験がないと出来ないことは
わかるので、見ているほうは実に興味深く、おもしろいです。
長年にわたるこだわり、そんな楽しみを持てることが
羨ましくもあります。
メリークリスマス

Re: No title

さざ波さん

いつもコメントをいただきありがとうございます。

新しいフロントグリルは、薄くて平べったい顔をさらに強調し、
逆に元のグリルは薄っぺたな顔をそうでなく見せる力を備えていて、
まったく逆の意味でどちらも同様に優れたデザインなのだと思います。

少しラインが違うだけなのに見た目の印象をがらっと変えてしまう…
自動車のデザインはホントに面白いし、奥深いものですね。

年内にまたお店にうかがいますね。
それでは。。。
プロフィール

喜多村 武

Author:喜多村 武
 映像Director、絵本作り、
 イラスト作画、アニメ制作、
 鉄道模型の設計などしている
 ”アトリエざんまい” な日々。
 最近は大学にて講義をさせて
 いただいたりも…。

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