映画『銀嶺の果て』

三十年くらい前からずーっと観たかった映画。
つい先日、WOWOWが放送してくれました。


東宝映画『銀嶺の果て』。
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あの東宝争議の真っただ中、昭和22年8月に公開された作品です。


この、映画『銀嶺の果て』とは、、、
黒澤明さんのオリジナル脚本を基に、映画初監督となる谷口千吉さんがメガホンをとり、
三船敏郎さんのデビュー作となり、伊福部昭さんが初めて映画音楽を担当されたという、
今考えると、奇跡のような出来事が何度も重なったのじゃ!!!というような作品であります。


後に黒澤映画の常連となり、日本の映画産業に大いに貢献することとなる三船敏郎さん。
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東宝入社時はカメラマン志望だったそうですが、本作で俳優として鮮烈に銀幕デビュー。


重厚な役を演じられたら右に出る者はいない、名優 志村喬さん。
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悪人だが善人という難しい役を、大胆に、時に繊細に演じ切り、観る者の心を奮わせます。


終戦から二年、東宝が最も多難であった時期に公開された映画ですが、、、
後に世界を驚かした黒澤映画の傑作群も、伊福部節が炸裂した円谷英二さんの特撮映画も、
もし本作が無かったとしたら…だいぶ様相が違っていたかもしれません…


ちょっと大仰ですが、そんな意味で、東宝映画にとって…否、日本映画界にとって…
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(…そして不肖私にとっても…)なくてはならぬ重要な作品であると認識しております。


それから、そうそう、このことを書かずにはおれません。
悪役の志村喬さん(あの風貌とお声ですから…)が心を通わす山小屋の娘、春坊の役を、
この8年後に『ゴジラの逆襲』でヒロインを演じる若山セツ子さんが熱演しておられます。


若山セツ子さん。
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「この人、子役出身だったのか!?」と驚きつつ、明るく溌溂とした演技に心打たれます。


厳冬の銀嶺に一輪の花を咲かせ、雪で孤立する山小屋にまだ来ぬ春を香らせる可憐な少女。
荒くれ者の逃避行を、彼女が情緒豊かで清らかな物語へと昇華させ、観る者を感動させる。


そしてもうひとつ、そこにあるのは山、山なのです。
これは、登山の楽しさ、素晴しさ、厳しさといったものを、
まるで命を削るようにして、見事に収めた作品でもあるのです。
頂から望むローゼンモルゲン、薔薇色の朝。
亡き我が父もこよなく愛した山、訪れる者の魂を濯う山。
そこに集い住まう人々を、優しく、強く、抱く山。。。


映画を観終えて、、、


そうだ、こうして人間の業をあたたかい視点で描くのは黒澤さんならではだな、と感じ…
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今後の人生において度々観返したくなる、私にとってそんな愛すべき1本となりました。


『銀嶺の果て』…今年観た映画の中で、今のところ一番のお気に入りです。
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興味がおありの皆さん、ぜひ一度、ご鑑賞くださいませ。。。


À bientôt!

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プロフィール

喜多村 武

Author:喜多村 武
 映像Director、絵本作り、
 イラスト作画、アニメ制作、
 鉄道模型の設計などしている
 ”アトリエざんまい” な日々。
 最近は大学にて講義をさせて
 いただいたりも…。

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